マニカルニカー・ガートの少し離れた場所から、火葬をぼーっと見ていた。
近くのチャイ売りが「オッハー」と言ってくる。
考えごとをしていてもおかまいなしで、難しい顔をしている私に「スマイル!」と笑いかけてくる。
同じ視界の中では、ハエや牛がたかるガートで人が焼かれ、それを家族が見守っている。
そんなところでスマイルだなんて、きっと日本では不謹慎だと言われるだろう。
しかし、そもそも川岸の大衆の前で火葬をするインドでは、全く感覚が違うのかもしれない。
毎日多くの遺体が焼かれるその光景は、ここに住む人にとっての「ただの日常」だ。
だからその日常の中で、難しい顔をしている小さな日本人を見て、少し気になっただけなんだろう。
短い滞在時間でも、彼らと話したときに感じていたこと。
きっと彼らにとっては、「人にどう見られるか」よりも、「人とどう触れあうか」が大切なのだ。
土産物屋で、ステッカーを値切って買った。
喜んでいると、別の店の人が「Are you happy?」と聞いてくる。
初対面の上、この人の売り上げには関係ないのに、隣で喜んでいる私にニコニコと聞く。
食堂で旅仲間と笑い合っていると、近くのおじさんも声を上げて一緒に笑った。
言葉はわからないのに、楽しそうに笑う私たちと一緒に笑う。
「You happy, I’m happy.」(あなたが幸せならわたしも幸せ)
この場所でよく聞いた言葉。
客引きもよく口にするので、商売言葉なのかもしれないけれど。
目の前でその言葉を体現する人たちを見て、実感した。
どんな思惑があったとしても、それでも、このスピリットは素敵だ。