「7月は雨が降らなくて困っていたんです」とか
「このあいだの台風で小松菜が泥にのまれました」とか
指圧をしながら近況を話していると、
「だんだん農家さんの会話みたいになってきてるね」と、常連のお客さんが笑った。
きのうの午前中に畑へ行ったら、この頃よく降る雨のおかげで、雑草たちがぐんぐん育っていた。
ほんとうに彼らのパワーには脱帽する。
首にタオルを巻いて、せっせと鍬で耕していると、畑の隅からバッタやカエルがぴょんぴょん飛び出してくる。
畝に生えたちいさな草は、ひたすら手で引っこ抜く。
近くで土を見ていると、そこかしこに、アリやちいさな虫たちが歩きまわっているのがよく見える。
つい先日、高木正勝さんが書いた「かがやき-つらつら思い出し日記-」という記事を見つけて読んでいた。
そのなかに
「牛だか鶏だかの糞を畑に置いたら、虫たちがわあっと湧いてきて
しばらくそのままにしていたら、とても穏やかな土になっていた。
異物を放りこまれて、虫たちがなんとか元に戻したいと思ったのかも」
というお話があった。
なるほど、人間のからだにいる善玉菌のような微生物と同じで、
虫たちは大地のために分解・解毒をするはたらきを持ってるんだなあ、と
草を抜きながらその話を思い出していた。
畑のまわりをぐるりと囲む雑草の中には、カエルやバッタがたくさん潜んでいる。
足を踏み入れると、おどろいた虫たちが「わあ〜〜〜」と、いっせいに飛び跳ねる。
その姿を見て、わたしは草を刈るのが少し申し訳なくなってしまった。
わたしにとっては邪魔な雑草が、彼らにとっては居心地のいい住み処なのだ。
だったら、こちらの都合で全部刈り取ってしまうのではなく、ある程度の余白を残しておきたいと思った。
9月のはじめに、西尾市で自然農をしている友人が遊びにきてくれることになったので、
そのあたりのことも相談してみようと思う。
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施設のほうでは、幼稚園の子どもたちがハンドベルの演奏をしてくれたり
夏祭りを開催して地域の方に来てもらったり、芸大の学生さんが音楽療法をしてくれたりと、
地域の交流が広がってきている。
施設には、終末期といって、病気の最終段階で入居される方もいる。
日々からだの機能が落ちていくなかで
看護師さんや介護士さんたちは、それぞれにできることを尽くして、その姿を見守っている。
しばらくの間リビングで過ごせていたひとが寝たきりになり、お部屋へ会いに行ったとき
わたしにできることは、声をかけて背中をさすることだけだった。
今まで感じたことがないことを、ここでたくさん経験させてもらっている。
顔を合わせるごとに笑顔を見せてくれるおじいちゃんや
一生懸命にお話をしてくれるおばあちゃんたちに癒され、
くだらない話をして笑ったり、昔の歌を教えてもらったり。
最近は振り付きで「おっはー」と挨拶してくれるひとも多くなった。
7月に植えたサツマイモは、一旦すべて枯れたように見えていたけれど、
その後見事に復活し、今はつるを伸ばして元気に成長している。
ひとも虫も植物も、内側に秘めた生命力がある。
もうすこし畑を整えて、みんなで一緒に収穫できる日を、わたしは楽しみに待っている。